残雪の残る富士山へ
宝永火口で過ごした翌日
戸高 雅史さんと一緒に登りたい
その想いを伝えた
すると、残雪の富士山へ登る機会の提案をすぐに頂いた
それから数日悩んだすえ、その瞬間の想いに正直に
残雪の富士山へ登ることをお願いした
それからの毎日は、過酷であろう残雪の富士へチャレンジするために
万全の装備と自分の身体の状態をいい状態にしよう
そんな意識をしながら過ごしていた
荒天は何を伝えているのか
日が近づくにつれ
週間予報でアタックする前日の天候が悪くなっていた
登るチャンスはないかもしれない
また次の機会になるかもしれない
さらに条件は登りたいという思いとは裏腹に、どんどん悪い予報になっていく
前日、関東、中部地方は100mmを超える大雨の予報
出発時間を遅らせる方向で話が進んでいた
そして、集合の当日の朝、出発準備をしていると
戸高さんから山頂付近が積雪の可能性が高い
登頂を目指すなら日程変更も視野に入れた方が良いかもしれないと提案を受けた
正直悩んだ。。。
楽な方へ楽な方へ行きたい
そんな弱い自分が現れては消えていった
ただその時、 ”今ここ” を大切に原点に帰った
今大切にしているのは、天気が悪いのも山
条件が変わるのも山であり、自然の力、それを肌で感じたい
経験豊富な戸高さんとその瞬間瞬間を感じとって行きたい
その場でしか、その場所に行かなければ経験できないこと
たくさんのことを学びたい
そう思い、戸高さんに登頂できなくても引き返すことになっても
チャレンジしたいと正直に伝えた
その想いを戸高さん、いや、まささんは大切に受け止めてくれた
それが本当に嬉しかった
深い森の中に響く、トラツグミの鳴き声
山中湖へ向かう途中
まだ雨が降っていた
夕方6時、天気の予報通り雨は上がっていた
まささんのベースで最終的な装備を確認し
美味しい夕飯を頂いた後、8時過ぎに水カ塚駐車場へ
まささんと二人で移動した
そこには雨上がりの富士
月明かりに照らされ凛と佇んでいた
今回、天候の影響もあり、まささんの二人でのチャレンジとなる
3時に起き、4時に5合目に出発す予定で
仮眠に入った
キーイ、キーイという音が一定の間隔で聞こえてきていた
3時に起き、外に出てみると
靄に包まれていた
そこには、キーイ、キーイと高い鳴き声、低めの鳴き声の
トラツグミが鳴いていた(※トラツグミの鳴き声)
まささんがその鳥は深い森の中で鳴くことはある
この場所で鳴くようなことはないと教えてくれた
車の中にいながら二人で深い森の中にいる不思議な体験だねと話していた