憧れの山 〜今ここを大切に特別な世界へ ④〜

不安を取り除くために

 

想像を超えた状態で

想像を超えたこの場所にいることだけはわかった

自分の体力の状態、そして、今いる9合目という3,000mを超えた別世界

 

これから目指す場所までの距離は

あと少し手を伸ばせば届く場所

ただ本当に遠く甘くない場所

でも、目指す場所はこの先にある

 

 

頂上に目を向ける前に全力で

自分の脚が一歩でも前へ踏み出せるように

ストレッチしエネルギーを補給する

呼吸をしっかりと整え、酸素が足までしっかりと届くように

リラックスしながらも身体に意識を向けながら

身体を休めた

 

本当の挑戦はここから始まる

 

気持ちが落ち着いた瞬間

目指す頂きを見上げた

あんなに遠かった頂きが

自分の目で確認することができた

残り少ないエネルギーを最大限に使って登ることを決意するように

 

深く深く深呼吸をした

 

気持ちを決め、まささんに合図をし再び登り始めた

 

そこからは今まで以上にまささんの後ろを歩きながら

足元に集中する

まささんのついた足跡の同じ位置に同じ角度で着くように

ぴったりとつきながら

同じテンポで同じ速度で一歩一歩

 

気がつけば

あと0.5合で頂上という場所に着いていた

 

まささんが少しの休憩をしたら

すぐに頂上を目指すよと一言

 

その一言を聞いた瞬間

 

『最後までこのまま一気に行く』

『全力で行くよ』

 

そんなメッセージを受け取った瞬間

自分の力を出し切る瞬間だと身体のうちにあるものを奮い立たせた

 

そこからまた一歩一歩登って行く

このままいけるのか

そう思った瞬間

そんな想いは打ち砕かれる

とうとう両足の太腿が悲鳴をあげたのだ

 

最後の力を振り絞る

 

すぐに座り込み太腿を延ばす

まささんが塩分が必要だとすぐに

飴を渡してくれた

口に飴を入れ

両足を延ばす

呼吸を整えながら

足の状態に意識を向ける

 

呼吸を整えるどれくらいの時間だっただろう

大丈夫だと身体の声が聞こえた瞬間

立ち上がった

 

深呼吸を何回かした

『最後まで行くぞ、大丈夫か』

自分の気持ちに聞くように

深く深く深呼吸した

 

そして、まささんに合図し再び登り始めた

それから本当に自分でも信じじられないぐらいの

スピードで登っていたように思う

 

 

まささんの足元に集中して歩を進める

どれくらい時間がたっただろうか

 

 

夏の登山した時の記憶が蘇る

山頂付近のチェーンが見えてきたのだ

山頂を見たい、前を見たい

そんな誘惑が出てきて

ふと見上げてしまった

 

その瞬間、リズムが崩れ、体力を奪われる

 

もう一度気持ちを

”今ここ”

に集中するんだと言い聞かせた

 

そして、気がつくと頂上の鳥居の前に立っていた

 

まささんに先に鳥居に行くように促され

鳥居に向かって歩いて行く

一歩近づくたびに心の中にある何かが震えていた

そして、涙が自然と溢れた

 

この場所に行きたい、本当に挑戦したい

そう思い、まささんのサポートのもと

ず〜と憧れの山だった富士の頂きにたつことができた

その想いが身を結んだ瞬間だった

 

この場所への縁を繋いでくれた仲間、支えてくれた家族、

そして、全力で安全を確保しながら支えてくれ、

リードしてくれたまささんに心から感謝します。

本当にありがとうございました。

 

憧れの山は、様々な顔を持つ

 

夏の富士でも頂上付近は特別な世界であることを感じていました

今回、残雪の残る富士の頂きに立って

改めて自然の強さ、厳しさ、優しさを肌で感じました。

これから、また自然と対峙する機会を大切にしたいと心から思うようになりました。

 

富士の特別な世界をみなさんに

【頂上浅間大社】

【富士山火口】

【富士の雲海】

 

 

 

 

 

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